法人契約の生命保険で裏ワザとして人気の高かったあの「名義変更スキーム」が、ついに利用不可になりそうです。
このプランの流れは次の通りです
①法人で低解約返戻金型の定期保険に加入する。被保険者は役員。
↓
②法人で4年間保険料を支払った後、保険契約を被保険者である役員個人へ名義変更する
このとき、名義変更に伴う対価を新契約者である役員個人から法人へ支払う必要があるが、
その額は保険を仮に解約した場合に戻ってくる「解約返戻金相当額」。
↓
③名義変更した後、新契約者である役員は保険契約を解約し、解約返戻金を受取る
このプランのミソは、
②で名義変更するタイミングでの解約返戻金が、それまで支払った保険料の4~20%程度と極端に低いこと
⇒役員が名義変更の対価として支払う額が少なくて済む
そして、
③のタイミングで解約したら戻ってくる額は、それまで支払った保険料の85~95%程度と高く上がっている
⇒役員は少ない負担で多額のキャッシュが得られる
もちろん役員が得る解約返戻金に対しては税金がかかりますが、保険契約の解約返戻金に対する課税は「一時所得」となるので、通常の所得税に比べると半分以下の税額で済み、しかも給料をもらったと同じ効果があるのに社会保険料もかからないので、高所得の会社経営者にとても人気のスキームでした。
このスキームが、2019年7月以降に契約された保険契約について認めなくする方向で、国税局が検討を進めています。
過去の契約にさかのぼって認めなくする、というのは今までの保険税務改定では殆ど例がありませんでした。
これは、「法のグレーゾーンをついたような節税策は後からでも否認する」という当局の意思の強い表れともとれます。
2019年7月以降にスタートさせてしまったものへの対応は、関係通達の内容が明確になってから検討していきたいと思います。
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